フードデリバリーサービスであるDiDiフードが日本市場から撤退することを発表し、配達員は他のデリバリーサービスへ切り替えて稼働せざるを得なくなりました。
なぜDiDiフードが日本市場から撤退することになったのか、その理由や背景を探るとともに、競争の激しいフードデリバリーサービスで配達員を続けたい方はどうすればよいのか、ご紹介します。DiDiフードのように突然撤退してしまうという不安がなく、報酬が高いフードデリバリーサービスについても見てみましょう。
目次
DiDiフードが日本でのフードデリバリーサービスの撤退を公式発表
DiDiフードが2022年4月20日に、日本市場から撤退することを発表しました。DiDiフードのサービスは同年5月25日に終了します。
2020年4月に大阪でスタートしたDiDiフードのフードデリバリーサービスは、その後福岡や広島、沖縄、宮城などの地域にも順調に展開していきました。オレンジ色の配達バッグで知られており、多くの配達員が配達パートナーとして働いています。
DiDiフードを運営するのは、中国・滴滴出行の100%子会社であるDiDiフードジャパンです。中国の滴滴出行は、ライドシェアアプリ「DiDi」で知られていますが、日本では滴滴出行とソフトバンクによる別会社・DiDiモビリティジャパンによってタクシー配車サービスを運営しています。
DiDiフードが日本市場から撤退した理由とは?
DiDiフードはなぜ日本市場から撤退することになったのか、3つの理由を見てみましょう。
フード宅配サービスの競争激化
1つ目の理由は、フードデリバリーサービスが乱立し、競争が激化していることです。
外出先で誰しも1度はフードデリバリーサービスの配達員を見かけたことがあるでしょう。それほど多くのフードデリバリーサービスが増えており、DiDiフードをはじめとするさまざまなサービスが競争を続けています。
DiDiフードのほかにも、UberEats(ウーバーイーツ)、Wolt(ウォルト)、出前館、menu、などが挙げられます。
しかし、これだけ多くのフードデリバリーサービスが登場したことで競争が激しくなり、ついに経営を続けられなくなるサービスも出てきました。実際に、2022年1月でfoodpanda(フードパンダ)は撤退しています。
DiDiフードは、UberEatsや出前館など大手のサービスに比べて規模が小さく、シェアを大きく伸ばせないために競り負けたといえるでしょう。
中国の親会社「DiDi」の経営不振
2つ目は、DiDiフードを運営しているDiDiフードジャパンの親会社「DiDi」の経営不振です。
中国に親会社をもつDiDiフードジャパンですが、DiDiの2021年12月期決算は、最終損益が約1兆円という巨額の赤字と発表されました。当然、親会社の経営不振は子会社にも影響し、赤字を調整するために事業の縮小を余儀なくされます。
DiDiフードは、ほかのフードデリバリーサービスに比べ、日本で大きくシェアされているというわけではありません。そのため、日本市場から撤退することを決断したことになります。
今後DiDiフードはタクシー配車サービスに注力
3つ目は、今後フードデリバリーサービスではなく「タクシー配車サービス」に注力することが挙げられます。
DiDi自体が完全に日本から撤退するのではなく、今後は滴滴出行とソフトバンクとの合弁会社・DiDiモビリティジャパン株式会社による、タクシー配車アプリDiDiに集中することになっています。
DiDiフード配達員は今後どうすればよい?
2022年5月でDiDiフードのサービスが終了することが決まったため、これまでDiDiフードで配達パートナーとして働いていた人は、今後どうすればよいのでしょうか。
ここからは、DiDiフードのサービス終了に伴ってDiDiフード配達員がやらなくてはならないこと、サービス終了後にも配達員として働くためにはどうすればよいのか、その方法やおすすめのサービスをご紹介します。
配達アカウントやバッグはどうすればよい?
まず、2022年5月25日のDiDiフードサービス終了に伴い、これまで利用していたアカウントは自動的に解約されることになります。
配達に使っていたデリバリーバッグの返却は必ずしも行わなくてもよいとされていますが、バッグをもらった際に預けた料金(デポジット)を返金してほしい場合には、期日までに返却をしなければなりません。
また、DiDiフードのサービスが終了してしまうため、配達員として働いていた個人事業主の方は転職が必要です。DiDiフードと同じように配達員のまま仕事をしたいという人は、他のフードデリバリーサービスを探す必要があります。
日本ではUber Eats(ウーバーイーツ)と出前館の利用者が多い
日本には、撤退するDiDiフードをはじめ、Uber Eatsや出前館、Woltなどさまざまなフードデリバリーサービスが存在しています。
そのうち、利用者数が最も多いのは出前館、次いで僅差でUberEatsとなっています。利用者が多いということはそれだけ安定して稼ぎやすく、DiDiフードのように突然サービスを終了するという心配も少なく済みます。
Uber Eats(ウーバーイーツ)と出前館どっちがおすすめ?
多くの方から認知されているUberEatsと出前館ですが、配達員としてどちらで働くのがおすすめなのか、報酬や待遇などを比較してみましょう。
出前館 | Uber Eats | |
---|---|---|
配達報酬 | 最低550円~最大1,980円/1件 | 基本金額+配達調整金額 |
報酬形態 | 固定報酬制 【基本報酬550円~715円/1件×ブースト(最大2.0倍)+各種インセンティブ】 | 変動報酬制 【詳細な金額の公開なし】 |
報酬制度 | ブースト(繁忙時間・時期) | ブースト距離報酬クエスト報酬など |
キャンペーン | スタートダッシュキャンペーンで基本報酬+30%UP | なし |
UberEatsの報酬は、配達リクエストを受け取った際に、配達を完了すると受け取れる報酬額を確認できます。ただし、その算出方法は配達するための店舗や届け先の距離、所要時間などで細かく変動するため、明確な基準がわかりづらいという声もあります。
一方、出前館の報酬は1件あたり最低配達料が550円からで、そこに配達の時間帯や多忙時に追加されるブースト、さらにインセンティブがプラスされて支払われる仕組みです。また、配達員を始めると「スタートダッシュキャンペーン」を利用でき、やればやるだけ報酬が上がる仕組みになっています。
出前館は短距離配達のみ
出前館の配達員は、利用者の多い都市のなかでもエリアが細分化されているため、遠くから配達を頼まれることがありません。細かく分けられた配送拠点のエリア内で配達するため、短距離配達のみで効率良く、配達件数を増やすことができるようになっています。
掛け持ちで働くことも可能
主要都市では、出前館とUberEatsのどちらも対応しているため、配達員として掛け持ちをすることができます。両方のフードサービスを配達員として登録することで、より多くの注文を受注できるため、しっかり稼ぎたいという人におすすめです。
まとめ
DiDiフードが日本から撤退することで転職を余儀なくされる配達員の方は、今後も安心して働ける業界大手への転職がおすすめです。なかでも、利用者数1位の出前館と2位のUber Eatsは安定した数の発注があるため、検討するとよいでしょう。
ただし、Uber Eatsは変動報酬制で減少傾向にあるため、固定報酬・短距離配達で効率良く稼げる出前館がおすすめです。対応エリアによっては出前館とUber Eatsの掛け持ちをすることも可能なため、しっかり稼ぎたい人は掛け持ちも検討するとよいでしょう。